気まぐれメッセージ #2 4/20/20

不要不急?

「不要不急」という、広辞苑にすら載っていない四字熟語に混乱しています。「不要不急」とは、レストランで食事をしてバーで語り合ったり、コンサートやライブに行ったり、歌舞伎や文楽などの古典芸能を楽しんだり、美術館や博物館・図書館に行ったり、デパートでショッピングをしたり、桜の下で花見をしたり、デートをしたり、家族で温泉地に行ったりすることを指すようです。要するに、コロナウイルスが蔓延している間は「無駄な」人との出会いを求めず(すなわち恋愛禁止!)、「無駄な」芸術鑑賞や学問を楽しまず、「有意義な」ネット生活をしてください、ということらしいのです。


そういう生活を始めればすぐに気付くと思いますが(定年退職者はもうよく知っていることです)、狭い家にいて社会とのリアルな交流を断絶すると、非常に窮屈で退屈で、そして抑圧された気分になります。今言われる「不急不要」の行為は、実は人が「社会」で生きていく上で「必要不可欠」なことであることに気付きます。もし、コロナウイルス騒動のいまの日本社会に「不要不急」なことがあるとしたら、それは間違いなく「テレビのワイドショー」と「国会討論会」だろうと思います。全チャネルで同じニュースと同じコメントを一日中流し続けるテレビを観ることこそが「不急不要」な行為だと気付くと、おそらく人々は「YouTube」や「Netflix」に流れるでしょう。そして、すぐに「YouTube」に飽きることでしょう。 「Netflix」のオリジナル・ドラマは仮想の話であることに気づき、現実の自分のドラマを始めたくなることだろうと思います。


ジァレド・ダイアモンドの「第三のチンパンジー」によれば、ゴリラやチンパンジーは鉛筆を使って芸術的な絵を描くことができるそうです。しかし、それは飼育下のチンパンジーだけの話であり、野生の状態では決して起こらないのです。オリの中で、餌を与えられ天敵に襲われない環境で生きるのはチンパンジーにとって安全ですが、辛くて退屈で異常な環境です。危険があっても、オリから脱走して自然の中で食べ物を求め、天敵と戦って生きることの方が楽しいのです。


人も、社会に出て人と触れ合って、芸術やスポーツや飲み会やショッピングを楽しむことによって初めて健康になれます。たとえ感染しても、です。リスクを恐れる余りオリに入れられていては、本当の健康は得られません。たとえ長生きできても、です。「不要不急」の異性との出会いを避けて「濃厚接触」を避けると、婚姻率と出産率が下がります。少子高齢化社会を議論していたはずなのに、、、。


一刻もはやく、正常な状態に戻ることを心から祈っています。そうでなければ、人も会社も社会も病んでしまいます。オリに入れられた動物たちの気持ちが少し分かる気がしてきました。


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